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Immich

自宅の写真管理はImmichかNextcloudか:必要スペック・機能・移行しやすさの違い

公開 2026-09-28読了 6 分

Photo: cottonbro studio / Pexels

この記事でわかること
家族の写真を自宅サーバーで管理するならImmichかNextcloudか。必要なメモリ、顔認識や検索の差、iPhoneのバックアップの制約、後から乗り換えるときの手間まで判断材料を整理します。

先に結論です。写真を「見る・探す」ことが目的なら Immich、写真以外のファイル共有も1つにまとめたいなら Nextcloud です。同じ土俵の製品に見えますが、Immich は Google フォト型の写真専用アプリ、Nextcloud はファイル置き場に写真機能を足したもので、出発点が違います。

もう一つ、決めきれない場合は Nextcloud でスマホからアップロードし、そのフォルダを Immich に読み取り専用で見せるという併用もできます。後からどちらかに寄せるのも難しくないので、最初の選択をそこまで重く考えなくて大丈夫だと思います。

なお2026年9月時点の Immich の最新安定版は v3.2 系とされています。

そもそも何が違うのか

項目ImmichNextcloud(Photos / Memories)
性格写真・動画専用ファイル同期・共有が本体、写真は機能の一つ
画面タイムライン中心。Google フォトに近い標準の Photos、または Memories アプリを追加
顔認識・検索標準で入っている(機械学習コンテナ)Recognize などのアプリを追加して実現
ファイルの置き方Immich が管理(日付フォルダに整理も可)アップロードしたフォルダ構成がそのまま残る
写真以外扱わない書類・カレンダー・連絡先なども置ける

判断の軸は「家族が何のために開くか」です。スマホで昔の写真を探す、人物で絞り込む、という使い方が中心なら Immich のほうが自然です。Nextcloud は、写真のほかに学校のプリントの PDF や家計の表計算ファイルも同じ場所に置きたい家庭で力を発揮します。

Nextcloud でも Memories アプリを入れれば、タイムライン・地図表示・アルバム共有・動画のトランスコードまで揃い、見た目はかなり Immich に近づきます。ただ顔認識には別途 Recognize などが必要で、組み合わせて作る手間はあります。

必要スペック:Immich はメモリ6GBが最低線

公式ドキュメント上の目安は次のとおりです。

  • Immich:メモリ最低6GB(推奨8GB)、CPU 最低2コア(推奨4コア)。機械学習を無効にすれば4GBでも動くとされています
  • Nextcloud AIO:メモリ4GB・2コア以上が目安。顔認識の Recognize アプリは、動作に約4GBの空きメモリを求めるとされています

つまり顔認識までやりたいなら、どちらを選んでも実質8GB級のマシンが要ります。Immich はそれが最初から一式で入っているぶん、要件が素直に見えるだけです。

置き場所は x86 の Intel N100 / N150 搭載ミニPC が扱いやすいと思います。Immich の機械学習は Intel の内蔵 GPU(OpenVINO)による高速化にも対応しているとされています。増設できる機種なら DDR5 SO-DIMM 16GB にしておくと余裕が出ます(2026年はメモリ価格が高止まりしているとされるので、相場は確認してください)。

見落としやすいのがデータベースの置き場所です。Immich は Postgres のデータベースをローカルの SSD に置き、ネットワーク共有には置かないよう明記しています。写真本体は NAS に置いても構いませんが、DB だけはミニPC 内蔵の NVMe SSD 1TB などに置いてください。サムネイルや動画の変換で、ライブラリ容量は平均10〜20%増えるとされています。写真本体のディスクは WD Red Plus 8TB のような CMR の NAS 用 HDD が無難です。

スマホのバックアップと検索の違い

家族にとって一番大事なのは「撮った写真が勝手に上がること」です。ここは両者とも iPhone で同じ制約を受けます。

iOS はバックグラウンド処理をいつ・どれだけ走らせるかを OS 側で決めます。Immich のドキュメントでも、アプリ側では実行タイミングを制御できず、アプリを開く頻度が高いほどバックグラウンド処理も走りやすい、と説明されています。「App のバックグラウンド更新」をオンにし、低電力モードを常用しないことが前提です。Nextcloud の iOS アプリにも、自動アップロードが止まるという報告が続いています。どちらを選んでも、iPhone は「ときどきアプリを開く」を運用に入れるつもりでいてください。

違いが出るのは検索です。Immich は標準で、「海」「誕生日ケーキ」のような言葉で写真を探すスマート検索と、人物ごとのまとまり(顔認識)が使えます。Nextcloud でも Recognize がタグ付けと顔のグループ化をしますが、言葉で自由に探す体験は Immich のほうが作り込まれている印象です。

移行しやすさ:ファイルがどう置かれるかで決まる

乗り換えや撤退のしやすさは、写真がディスク上にどういう形で残るかでほぼ決まります。

Nextcloud は データディレクトリ/<ユーザー名>/files/ 以下に、アップロードしたとおりのフォルダ構成で置かれます。Nextcloud をやめても写真はそのまま残るので、撤退は簡単です。

Immich は保存場所を Immich 自身が管理します。ストレージテンプレートを有効にすると 年/年-月-日/元のファイル名 の形で整理できるので、フォルダを見て中身が分かる状態にしておくと撤退しやすくなります。バックアップ対象は UPLOAD_LOCATION の library upload profile と、データベースのダンプです(DB は既定で毎日2時に自動ダンプされ、14世代保持)。DB のバックアップに写真そのものは入らないので、必ず両方を取ってください。

Nextcloud から Immich へ移るなら、いきなり全部を取り込むより 外部ライブラリ機能で Nextcloud の写真フォルダを :ro(読み取り専用)でマウントして試すのが安全です。元ファイルに触れずに使い勝手を確かめられ、合わなければ外すだけで戻せます。ただし外部ライブラリでは、Immich 上で付けた情報はファイルに書き戻されず、ファイルを移動すると再スキャン時にその情報が失われるとされています。新しいファイルの取り込みも、既定では1日1回のスキャンです。

Google フォトから移る場合は、Takeout の書き出しを immich-go で取り込むのが定番とされています。撮影日時や位置情報が別ファイル(JSON)に分かれている Takeout の癖を解釈して取り込んでくれるためです。

まとめ

  • 写真を見る・探すのが目的なら Immich、ファイル共有もまとめたいなら Nextcloud
  • Immich は メモリ6GB(推奨8GB)。Nextcloud も顔認識を足すと同程度が必要
  • Immich の データベースはローカル SSD に置く。写真本体は NAS でもよい
  • iPhone のバックグラウンドアップロードはどちらも OS の制約を受ける。ときどきアプリを開く
  • 迷ったら、Nextcloud の写真フォルダを Immich の外部ライブラリとして 読み取り専用で見せて試す

どちらを選んでも、写真の原本が1か所にしかない状態は避けてください。まずは自分の写真だけで1〜2週間使い、家族が自分から開きたくなるほうを残す、という決め方で十分だと思います。


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部長(本業: IT インフラ) 家でも同じことをして遊んでいます。記事は実機で試してから書き、失敗もそのまま載せます。