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2.5GbE

自宅LANの2.5GbE化はどこまで効くか:スイッチ・NIC・ストレージのボトルネックを整理

公開 2026-09-25読了 6 分

Photo: Brett Sayles / Pexels

この記事でわかること
自宅LANを2.5GbEにして速くなるのは、経路上の機器とストレージがすべて1GbEを超えられるときだけです。NIC・スイッチ・ケーブル・HDD/SSDのどこで詰まるかと、iperf3での切り分け方を整理します。

自宅 LAN を 2.5GbE にすると、ファイルコピーは最大で 1GbE の約 2.5 倍になります。ただしそれは、PC・スイッチ・サーバーの LAN ポートと、読み書きするストレージのすべてが 1GbE より速いときだけです。結論を先に書くと、判断の目安は次の 3 点です。

  • 実効速度は 1GbE で約 110MB/s、2.5GbE で約 280MB/s。この差を使い切れるのは SSD か、HDD の読み出し
  • 経路上に 1 か所でも 1GbE の機器があれば全体が 1GbE になる。リンク速度の確認と iperf3 の計測で切り分ける
  • 効くのは大きなファイルを動かす用途。スマホの写真バックアップや動画配信はほぼ変わらない

2.5GbE で速くなる幅

1GbE の上限は、バイトに直すと 125MB/s です。実際のファイルコピーではオーバーヘッドを引いて 110〜118MB/s あたりに落ち着きます。

2.5GbE の上限は 312.5MB/s です。2.5GbE ポートを持つ NAS のレビューでは、条件がそろったときの転送速度が 280〜290MB/s 程度と報告されています。つまり 2.5GbE 化の中身は、頭打ちの位置を約 110MB/s から約 280MB/s へ引き上げることです。

裏を返すと、読み書きする側が 110MB/s を超えられなければ何も変わりません。どこで詰まるかは、ネットワーク側とストレージ側に分けると整理しやすくなります。

ネットワーク側のボトルネック:NIC・スイッチ・ケーブル

通信速度は経路上でいちばん遅い機器で決まります。PC と NAS が 2.5GbE でも、間のスイッチが 1GbE なら 1GbE です。

NIC(PC とサーバーの LAN ポート)

  • デスクトップ PC:最近のマザーボードは 2.5GbE(Intel I225-V / I226-V、Realtek RTL8125 など)を載せたものが多い。古い PC やノート PC は 1GbE が主流
  • ミニ PC:N100 クラスでも 2.5GbE を持つ製品が多いが、1GbE の製品もあるので仕様表で確認する
  • Raspberry Pi 5:本体の LAN は 1GbE
  • 市販 NAS:Synology なら DS224+ は 1GbE のみ、後継の DS225+ は 2.5GbE と 1GbE が 1 ポートずつ

2.5GbE ポートが無い機器には、USB 接続のアダプターで足せます。RTL8156B を使った製品が多く、たとえば I-O DATA ETQG-US3 はメーカー実測で約 2,372Mbps とされています。USB 3.x のポートに挿すのが前提で、USB 2.0 のポートでは 1GbE より遅くなります。

なお、Intel の I225-V / I226-V は、省電力機能(EEE)が有効なときにリンクが切れる症状が各所で報告されています。Linux で症状が出た場合、sudo ethtool --set-eee enp1s0 eee off で EEE を切ると安定したという報告が多いです(インターフェース名は環境に合わせてください)。

スイッチとルーター

見落としやすいのがここです。家庭用ルーターには、インターネット側(WAN)だけ 2.5GbE で、LAN ポートは 1GbE という製品が珍しくありません。PC と NAS をルーターの LAN ポートにつないでいると、1GbE で頭打ちです。

確実なのは、PC とサーバーの間に 2.5GbE のスイッチを置くことです。TP-Link TL-SG105-M2 のように全 5 ポートが 2.5GbE のアンマネージドスイッチがあります。2.5GbE のポートには 1GbE の機器もそのままつながるので、速くしたい機器だけ付け替えれば十分です。

ケーブル

2.5GBASE-T(IEEE 802.3bz)は、カテゴリ 5e のケーブルで 100m まで通信できる規格です。家庭内の距離なら、今の Cat5e / Cat6 ケーブルのまま使えることがほとんどです。例外は無印の Cat5 や、折れ・つぶれのある古いケーブルで、1GbE に落ちてリンクすることがあります。

ストレージ側のボトルネック:HDD か SSD か

ネットワークが 280MB/s 出ても、ディスクが追いつかなければそこで止まります。

保存先連続読み書きの目安2.5GbE の効果
HDD 1 台(ミラー含む)150〜250MB/s 程度1GbE よりは速いが、上限には届きにくい
HDD 3〜4 台の RAID5 / RAIDZ1読み出しは 2.5GbE に届くことがある読み出しで効く。書き込みは構成次第
SATA SSD500MB/s 前後2.5GbE をほぼ使い切れる
NVMe SSD数 GB/s2.5GbE の方が詰まる

HDD の速度は、容量やモデル、ディスクの外周か内周かで変わります。2.5GbE 化の検証記事でも、NAS からの読み出しは約 2.5 倍に伸びた一方、HDD への書き込みは 1.3 倍程度にとどまったという報告があります。

ファイルの大きさも効きます。小さなファイルを大量にコピーすると、1 ファイルごとの処理時間が支配的になり、回線速度の差は出にくくなります。また、SMB の暗号化を有効にしている場合や CPU が非力な NAS では、CPU が先に詰まることもあるとされています。

自分の環境で確かめる手順

機器をそろえたら、「リンク速度 → ネットワーク単体の速度 → ファイルコピー」の順に見ます。

1. リンク速度を見る

# Linux(サーバー側)。Speed: 2500Mb/s なら OK
ethtool enp1s0 | grep Speed

Windows では PowerShell で Get-NetAdapter | Select-Object Name, LinkSpeed を実行し、2.5 Gbps と出るか確認します。1 Gbps なら、ケーブルかスイッチのポートを疑います。

2. iperf3 でネットワークだけの速度を測る

# サーバー側
iperf3 -s
# PC 側(-R で逆方向も測る)
iperf3 -c 192.168.1.10
iperf3 -c 192.168.1.10 -R

2.3Gbits/sec 前後が出ていれば、ネットワークは本来の性能を出せています。iperf3 はディスクを使わないので、ここが遅ければ NIC・スイッチ・ケーブル・USB ポートのどれかです。

3. 実際のファイルコピーと比べる

iperf3 は速いのにコピーが 150MB/s 前後で止まるなら、上限はストレージです。HDD の NAS ならそれが普通の結果なので、無理に追いかける必要はありません。

効く用途、効かない用途

私の考えでは、2.5GbE 化で体感が変わるのは次のような用途です。

  • PC のイメージバックアップや、Proxmox の VM バックアップを別の機器へ送る
  • 動画素材や ISO イメージなど、数 GB のファイルを NAS とやり取りする
  • SSD を積んだ NAS やサーバーのデータを PC から直接扱う

逆に、次の用途ではほぼ変わりません。

  • スマホの写真バックアップ(Wi-Fi 側が遅い)
  • Jellyfin などの動画配信(4K でも 1 本あたり数十〜100Mbps 程度とされる)
  • Home Assistant や AdGuard Home など、通信量の小さいサービス
  • インターネットの速度(回線が 1Gbps 契約なら上限は変わらない)

最初から家じゅうを 2.5GbE にする必要はありません。サーバー(NAS)とメインの PC、その間のスイッチの 3 点をそろえれば、効果の大半は得られます。

まとめ

  • 2.5GbE 化で上がるのは上限。実効で約 110MB/s → 約 280MB/s
  • 経路上に 1GbE の機器が 1 つでもあれば 1GbE になる。ルーターの LAN ポートに注意
  • ケーブルは Cat5e で規格上 100m まで対応。USB アダプターは USB 3.x のポートに挿す
  • HDD 1 台やミラーの NAS はディスクが先に詰まる。SSD や複数台の RAID で差が出る
  • ethtool / Get-NetAdapter でリンク速度、iperf3 でネットワーク単体の速度を測って切り分ける
  • まずはサーバー・メイン PC・2.5GbE スイッチの 3 点だけで十分

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部長(本業: IT インフラ) 家でも同じことをして遊んでいます。記事は実機で試してから書き、失敗もそのまま載せます。