結論から書きます。自宅に検証環境を作るなら、N100 クラスのミニPC + Proxmox VE が最も手軽です。本体は 2〜3 万円台、消費電力は十数 W 程度とされており、VM を数台まとめて動かせます。この記事では、2026 年 9 月時点の最新版 Proxmox VE 9.2 を前提に、ISO の入手から初めての VM 作成までをまとめます。

なぜミニPC + Proxmox VE なのか

私が Proxmox VE を選んだ理由は、サブスクリプション無しでも全機能が使えること、VM の作成からバックアップまで Web UI で完結すること、9.2 が Debian 13 “Trixie” ベースとされていて Debian の知識が使えることの 3 つです。

ハードは Intel N100 搭載のミニPCにしました。N100 は Intel の公式仕様で最大メモリ 16GB・シングルチャネルとされており、「16GB 以上推奨」というより 16GB が上限です。Proxmox VE 自体が OS とサービス用に 2GB 程度を使うとされているので、8GB モデルでは VM に回せるのが 5〜6GB。Windows の VM 1 台で苦しくなるため、最初から 16GB モデルにしてください。

入門機の定番としては Beelink Mini S12 Pro がよく挙げられます。N100・16GB・500GB SSD で入門機として無難です。ストレージを増やすなら Crucial P3 Plus 1TB のような NVMe SSD への載せ替えが有効です。

ISO 入手からインストール、Web UI へのアクセスまで

ISO は公式サイト(proxmox.com/en/downloads)から入手します。公式ドキュメントでは USB メモリからのインストールが推奨とされています。容量は ISO より大きければよく、私は SanDisk Ultra Fit 32GB を Proxmox 専用にしています。

Windows での作成は balenaEtcherRufus です。Rufus は DD モードで書き込む必要があると公式ドキュメントに明記されています。Linux や macOS なら dd で書き込めます。/dev/XYZ を間違えると内蔵ディスクを消すので、lsblk で確認してから実行してください。

dd bs=1M conv=fdatasync if=./proxmox-ve_9.2-1.iso of=/dev/XYZ

ミニPCを USB から起動します。事前に BIOS で VT-x が有効か確認してください。インストーラで設定するのは次の 4 画面です。

画面設定内容私の例
Target Harddiskインストール先内蔵 SSD(ext4)
Location and Time Zone国・タイムゾーン・キーボードJapan / Asia/Tokyo / jp
Administration Passwordroot パスワード(8 文字以上)とメール自宅用のメール
Management NetworkNIC・ホスト名(FQDN)・IP・GW・DNSpve.home.lab / 192.168.1.50/24

ポイントは IP を固定にすることです。再起動後、コンソールに https://192.168.1.50:8006 のような URL が表示されます。ポートは 8006 です。証明書の警告はそのまま進め、ユーザー root、Realm Linux PAM standard authentication でログインします。

初めての VM を作る

左ペインの localISO ImagesUpload で VM 用の ISO をアップロードします(公開 ISO なら Download from URL が楽です)。次に右上の Create VM からウィザードを進めます。

  1. General: VM ID(100 から自動)と名前
  2. OS: ISO を選択。Type は LinuxMicrosoft Windows
  3. System: 基本はデフォルト。Windows 11 なら BIOS を OVMF (UEFI) にして TPM を追加
  4. Disks: Ubuntu なら 32GB で十分
  5. CPU / Memory: N100 は 4 コアなので VM には 2 コア。メモリは Ubuntu Server なら 2048MB、Windows なら 4096MB 以上
  6. Network / Confirm: vmbr0 のまま進み、Start after created にチェックして Finish

あとは VM の Console を開き、ブラウザ上で OS をインストールします。

サブスクリプション無しリポジトリへの切り替え

初期状態は Enterprise リポジトリを参照しており、サブスクリプション無しでは apt update がエラーになります。自宅用なら公式の pve-no-subscription リポジトリに切り替えます。公式ドキュメントでは「テスト・非本番向け」とされていますが、自宅ラボなら十分です。

Proxmox VE 9 からは apt の設定が **deb822 形式(.sources)**に変わっており、8 以前の一行形式は使えません。Enterprise 側に Enabled: false を追加して無効化し、no-subscription を追加します。

echo "Enabled: false" >> /etc/apt/sources.list.d/pve-enterprise.sources

cat > /etc/apt/sources.list.d/proxmox.sources << 'EOF'
Types: deb
URIs: http://download.proxmox.com/debian/pve
Suites: trixie
Components: pve-no-subscription
Signed-By: /usr/share/keyrings/proxmox-archive-keyring.gpg
EOF

apt update && apt full-upgrade -y

ログイン時の「No valid subscription」ダイアログは仕様で、OK で閉じれば使えます。

まとめ

  • 自宅の検証環境は N100 ミニPC + Proxmox VE 9.2 が手軽。N100 は公式仕様で最大 16GB なので RAM は 16GB モデル一択です
  • インストールは USB(Etcher か Rufus の DD モード)から。IP は固定にし、Web UI は https://<IP>:8006
  • 初 VM は local に ISO をアップロード → Create VM ウィザードを進めるだけ
  • 更新を受け取るには Enterprise を Enabled: false にして、deb822 形式で pve-no-subscription を追加

LXC コンテナや家族用 NAS への展開は別の記事で書く予定です。


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