先に結論を書きます。「家の中で常時動かすサーバーがほしい」なら、私はラズパイ5よりN100ミニPCをすすめます。 理由は、SSD・メモリ・電源・ケースが最初から揃っていて、x86なので普通のLinuxやProxmoxがそのまま入り、2026年時点ではラズパイ5の値上がりで価格差がほとんどなくなっているからです。

逆に、GPIOで電子工作をしたい、消費電力を1Wでも削りたい、という目的ならラズパイ5に軍配が上がります。この記事では、その判断材料を順に整理します。

2026年の価格事情:ラズパイは「安い」とは言いにくくなった

かつて「自宅サーバー入門=ラズパイ」だったのは、本体が1万円前後で買えたからです。ところが2026年はDRAM価格の高騰を受けて、Raspberry Pi 5は年内に複数回の値上げが行われました。8GBモデルは国内で2万円前後、16GBモデルは6万円台という販売例も見かけます(時期や店舗で変動するため、購入前に必ず確認してください)。

しかもラズパイは本体だけでは動きません。Raspberry Pi 5 8GBに、Raspberry Pi 公式 27W USB-C 電源アダプター、ケース、冷却ファン、microSDカードかNVMe SSD(SSDを使うならHATも必要)を足すと、合計は3万円に近づきます。

一方、Intel N100を搭載したミニPCは、メモリ8GB・SSD 256GBの構成がセール時に1.5万円前後、16GB・512GBでも2〜4万円程度で売られています。こちらはACアダプターもケースもストレージも込みの価格です。「箱を開けてLANケーブルを挿せばサーバーになる」状態で届くのは、平日の夜に少しずつ環境を作りたい会社員にとって大きな差だと私は感じています。

スペックと消費電力の比較表

主な違いを一枚にまとめます。消費電力は各種レビューで報告されている目安で、私が測定した値ではありません。

項目Intel N100 ミニPCRaspberry Pi 5
CPU4コア4スレッド、最大3.4GHz(x86_64)4コア(Arm Cortex-A76、2.4GHz)
TDP6W公称値なし(5V/5A電源を推奨)
メモリ8〜16GB DDR4/DDR5(機種により交換可)2/4/8/16GB LPDDR4X(基板直付け、交換不可)
ストレージNVMe/SATA SSD内蔵(交換可)microSD、または別売HATでNVMe
アイドル時消費電力の目安6〜10W前後とされています2.5〜3W前後とされています
OSWindows付属が多い。Ubuntu/Debian/Proxmox等がそのまま入るRaspberry Pi OS、Ubuntu等のArm版
GPIOなし40ピンあり
本体価格の目安(2026年9月)1.5〜4万円(周辺機器込み)2〜6万円(本体のみ)

数字だけ見るとラズパイ5の省電力性は確かに魅力です。ただし、電気代に換算すると差は月数十円の水準とされており、私は「消費電力でラズパイを選ぶ」判断は電子工作用途以外では薄いと考えています。

自宅サーバー用途で効いてくる3つの違い

1. x86かArmか

N100はx86_64なので、Proxmox VEやDockerイメージ、Windows向けの検証環境まで、会社で使う技術をそのまま自宅で再現できます。ラズパイ5もDockerは動きますが、Arm版イメージが提供されていないソフトに当たると、そこで手が止まります。「仕事の検証環境を家に作りたい」人には、この違いが一番大きいはずです。

2. ストレージが最初から速い

家族用NASや写真のバックアップ先にするなら、ストレージの信頼性と速度が肝心です。N100ミニPCはNVMe SSDが内蔵されていて、多くの機種で2.5インチSATAも増設できます。ラズパイ5でNVMeを使うには別売のHATを積む必要があり、配線と発熱の管理も自分でやることになります。

3. メモリの上限

Proxmoxで仮想マシンを2〜3台動かすと、8GBはすぐ埋まります。N100ミニPCはSO-DIMMスロットを持つ機種なら後から16GBや32GBに増やせますが、ラズパイ5はメモリが基板に直付けなので、買った時点の容量で固定です。ラズパイ5の16GBモデルが高騰している今、後から増設できることの価値は以前より上がっています。

どちらを選ぶか:ラズパイ5が向く人と、N100購入時の注意点

それでもラズパイ5を選ぶべき人

ここまでN100寄りに書きましたが、ラズパイ5が向く場面もはっきりあります。

  • GPIOでセンサーやリレーを動かしたい(N100にはGPIOがありません)
  • 消費電力を極限まで抑えたい、あるいはUSBバッテリーで動かしたい
  • 教材・コミュニティの情報量を重視する(日本語の記事はラズパイのほうが圧倒的に多いです)
  • 小さな基板を棚の裏に貼り付けるような設置をしたい

「サーバー」より「ガジェット」に近い使い方なら、Raspberry Pi アクティブクーラーを付けて常時運用する構成も合理的だと思います。

N100ミニPCを買うときの注意点

安さに惹かれて買う前に、私が確認をおすすめしている点を挙げます。

  • メモリが交換できるか: 基板直付けの機種もあります。SO-DIMMと書かれているものを選ぶと後から増設できます
  • ストレージの種類: M.2 2280のNVMeが挿せるか、SATAのみか
  • 有線LANの本数: ルーター代わりにするなら2ポート以上の機種が便利です
  • ファンレスかどうか: 静かですが、夏場の発熱には注意が必要とされています

私が自宅で最初の一台として選ぶなら、NiPoGi N100 ミニPCのような、メモリ16GB・SSD 512GBでSO-DIMMスロットのある構成です。8GB版で始めて、足りなくなったらメモリを買い足す形でも困りません。

まとめ

  • 2026年はラズパイ5の値上がりで、N100ミニPCとの価格差がほぼ消えています
  • 自宅サーバー・家族用NAS・仕事の検証環境が目的なら、x86でストレージとメモリを拡張できるN100ミニPCが有利です
  • GPIO・省電力・電子工作が目的ならラズパイ5です
  • N100ミニPCを買うときは、メモリ交換の可否とストレージの規格を先に確認してください

迷ったら、まずN100ミニPCにProxmoxを入れて、その上にDockerを載せるところから始めるのが、私のおすすめです。


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